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「いい部品」づくりを極める。そこから生まれる新しい価値。

ファインネクス株式会社
代表取締役社長 松田 竜彦

更新日:2023年11月22日

1976年 富山県生まれ。
1999年 大学卒業後、電子部品メーカー入社。
2002年 ファインネクス株式会社入社。
2015年 代表取締役就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。

日本一小さな村から世界への挑戦を続けるファインネクス。

当社は金属ワイヤーを使った圧造事業を50年以上生業にしてきた会社です。冷間鍛造といわれる、常温の金属線材に圧力を加えて成形する加工方法で、精密微細部品から中型部品まで様々な製品に対応しています。

お客様は日本と海外の電子部品メーカーや産業機器メーカーが多いです。近年、海外では自動車や半導体製品が盛り上がりを見せていますので、マイクロピン、検査プローブ、パワー半導体部品、並びにコネクタ、センサ部品などを提供しています。

また当社は日本一小さな村から世界一のものづくりをしている点でも特徴のある会社です。パソコンのCPU用PGA端子のシェアでは、世界No.1を達成しました。今年から会社のミッションを「小さな部品で世界をつなぐ」に改めたのですが、富山県舟橋村から世界へ品質の高い付加価値のある部品を提供していきたいと考えています。

ピンチをチャンスに変える!代表就任直後に向き合った大仕事。

私は大学で機械工学を学んだあと、福島県の電子部品メーカーに就職して様々な経験を積み、26歳で家業のファインネクスに入りました。入社から事業承継までの13年間は製造・技術・営業部門を経験し、また3年ほどシンガポール・上海・台湾で仕事をしたこともあります。海外のビジネスはとても活気があり、刺激と学びをたくさん得ました。

そして39歳で代表取締役社長に就任しましたが、その頃ちょうど当社の主力製品の生産が激減し、非常にピンチの状態でした。社員が自信をなくして離職率も高かったので、現場の士気を上げて前向きに進むためのあらゆる工夫をしました。

例えば、業務効率化のためにITシステムを導入して製品の原価計算を徹底したり、会社の使命・ミッションを明文化したり、ビジョン合宿研修を行なって社員同士の目線を合わせたりして、みんなが同じ方向に向かって進む組織づくりに力を入れてきました。立て直しには7~8年はかかりましたが、今ではかなり足元がしっかりした会社に近づいていると思います。

EVの登場に合わせ部品生産に着手。先見の明でチャンスをつかむ。

近年の製造業は日本企業が海外に工場を置いて現地生産を行なう形へとシフトしています。当社もベトナムのホーチミン近郊に工場を持っていますが、海外に多くのお客様を抱える当社にとって、「やはりお客様の近くでマーケティングや営業を展開してこそ仕事の成果につながる」と実感する場面は多くなってきています。

今後も海外での商談機会は増加が見込まれますし、自動車や半導体も海外での取引案件が主流になるのではないかと予想しています。ですから、自動車のEV(電気)化や自動運転、半導体に関わる部品をいかに着手できるかが勝負となります。

当社は2015年にEVが出始めた頃から、EV電池の部品を強化するという方針を掲げ、専用設備もない手探りの状態で製造をスタートしました。それまでは一般家庭向けの民生品やノートパソコン・スマートフォン関連製品が多かったのを、自動車や半導体分野の電子部品に集中できる環境を整え、今やっと実を結び始めています。

下請けから「開発型企業」へシフト。社会に新しい価値を提供する。

当社は現在、真の「開発型企業」となることを目指し、企画開発部を発足しました。お客様のオーダーをそのまま受けて加工する下請けではなく、当社からマーケティングを行ない、発信、企画したオリジナル製品がお客様に強く求められる状態を作ります。これは、当社のミッションである「社会に役立つ『新しい価値』を創造します」にも通じる部分です。

高い製品だから良い、安い製品だから悪いではなく、まだ世の中にない製品を作って新しい価値を提供することこそが当社の在りたい姿です。そのためにプロジェクトをいくつか走らせ、EVや半導体分野の部品の開発をしています。

本当に市場に求められる企画開発ができるよう、当社ではコンサルティングやアドバイザーなどの客観的な視点も積極的に取り入れています。「ファインネクスといえばこれ!」というナンバーワンの製品や確固たる柱を立て、社員が自信を持って働ける会社にしていくため、今後もイノベーションを起こしお客様の期待を超え続けたいと思います。

主体的に楽しみながら働ける人材と一緒に会社の未来を作りたい。

お客様やマーケットから求められるニーズをつかむのが得意な人や、新しい価値を創造したいと考える人、海外で活躍したい人などには、当社の仕事はとても面白いものだと思います。EVや半導体製品のものづくりといった今後発展が期待できる分野に触れられますし、海外でのビジネス経験を積むチャンスもあります。

会社全体に共通して言えるのは、主体性があってワクワクしながら働ける人と一緒に仕事をしたいですね。

私が代表になってから中途採用をオープンに行なうようになり、部課長やエンジニア、セールスなど幅広い職種で経験豊富な社員が入ってきています。そんな社員たちがリーダーシップを取り、現場を引っ張っていく姿は大変頼もしく感じます。

当社は2019年に創業50周年を迎えましたが、その先も見据えた道筋としての経営計画やビジョンは普段から積極的に社員へ語り、前向きさや考える力、気づく力を引き出す工夫をしています。そうやって少しずつ主体性のある人材を育て、社員の物心両面の幸せを実現し、グローバル化が進む中でも海外と互角に渡り合える強い企業にしていきたいと思っています。

他にはないファインなオリジナル製品で「選ばれる企業」を目指す。

今後は真の「開発型企業」の実現を目指して企画開発部の動きをますます活発化し、一つでも多くのオリジナル製品を世に送り出したいと考えます。まだまだコロナ禍の余韻、世界の紛争、インフレなどの影響が世界にあり、経営として我慢する場面も続いていますが、未来につながる仕事への種まきは徐々に進めています。

どんな業界でも、他と同じものを作っていてはいつか必ず限界が訪れます。また価格の安さだけで仕事をすることも、今日の日本での仕事の仕方としては合いませんし、現場の社員たちから仕事の醍醐味を奪うことになりかねません。今の時代は、いかに独自性があって差別化された付加価値のある商品・サービスを作るかがビジネスの勝敗を決める分かれ道です。

今後も海外でのマーケティング活動や展示会出展などを通して当社を広く知っていただきながら、社会に役立つ新しい価値を提供し続ける企業であるために、社員一丸となって取り組んでいきます。

編集後記

コンサルタント
鹿嶋 衛

同社は私が前職に在籍していた時からのお付き合いで、松田社長は初めてお会いした時から、ざっくばらんに経営に対する想いをお話いただきました。

候補者との面接では会社のビジョンや課題について社長自ら丁寧に説明をしている姿が印象的です。松田社長は、経営者としての熱い想いと市場を見つめる冷静な見識を併せ持っておられる方だと感じます。

また製造ラインなど社内を見学させていただき、5Sの整った環境や、すれ違う時に笑顔で会釈をされる社員の皆さんなど、経営者の想いや考えがしっかり現場に浸透していることが伺い知れます。これからも少しでもご支援ができるよう取り組んでまいります。

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