一歩の積み重ねが成長につながる。理念を胸に進化する組織づくり。
ジャパンメディック株式会社
代表取締役社長 前田 和也
富山県生まれ。一橋大学卒業。
2005年 旭化成株式会社入社。
2015年 ジャパンメディック株式会社入社。
2019年 代表取締役社長就任。
※所属や役職、記事内の内容は取材時点のものです。
さまざまな経験から導き出したキャリア観をもとに、家業入りを決断。
私は高校卒業までを地元・富山で過ごしたあと、東京の大学に進学し、新卒で旭化成に入社しました。
私の祖父は、ジャパンメディックの前身である株式会社前田模範堂を設立した人物です。幼少期からいつも「将来は社長になるんだよ」と言い聞かせられ、私の中にも「いつか会社を継ぐんだ」という意識はありました。
しかし、いきなり家業に入るよりも外で武者修行をしたいと考え、ゆくゆくは地元に戻るつもりで就職先を決めました。旭化成では主に人工透析のフィルターを海外に流通させる仕事に携わり、6年間ドイツに駐在した経験もあります。
海外での仕事は非常にやりがいがありましたが、30歳になった頃に日本への帰国が決まりました。当時は帰国後にどのようなキャリアを築くか迷っていた頃で、専門家のコーチングを受けながら1年ほどかけて頭の中を整理していきました。
そのプロセスを通して、私が本当にやりたいのは「自分のチームを持って旗を掲げ、同じ目標に向かってみんなと一緒に何かを成し遂げることだ」と気づいたのです。
私の原体験として学生時代のサッカーチームでの経験がありますが、大事な試合で勝つ喜びや負ける悔しさなどと同じ気持ちを感じられるような仕事人生の方が面白いと思いました。
そこで、私が目指すキャリア観を最も体現できそうなジャパンメディックへの転職を決め、2015年に富山へ戻りました。
暮らしを支えるOTC医薬品。その使命を胸に事業に向き合う。
ジャパンメディックに入社後、2年間は営業職に携わりました。当社はドラッグストアなどで販売されているOTC医薬品(医師の処方せんがなくても薬局などで購入できる市販医薬品)の開発・製造を行う会社です。
多くの医薬品OEMメーカーのように製造のみを担うのではなく、市場のニーズを予測して製品開発から自社で手がけるビジネスモデルのため、最初に家業へ入ったときはその点が特に面白いと感じました。
2018年には代表取締役副社長、その翌年に父から代表取締役社長を受け継ぎ、今に至ります。事業承継した当時は30代後半でしたから、世間的に見れば若い社長だったかもしれません。
近年は国の医療費の増加を抑えるため、法改正や薬価の引き下げなどが実施されています。
一人ひとりが自らの体調を管理する「セルフメディケーション」の考え方が主流になる中で、当社の商材は広く人々の役に立つものであり、社会で求められる事業を行っているという自負と追い風を感じながら、これまで組織運営を進めてきました。
理念のアップデートで目指す、より強固なチームワーク。
私が代表になった頃のジャパンメディックは、財務状況が非常に盤石な無借金経営の会社でした。ただ、組織の中を見てみるとチームワークに少し課題が残っていると感じたため、まずは社員みなが同じ方向を向けるように理念体系の整理から着手しました。
もちろん、それまでも経営理念はありましたし、唱和もしていましたが、その本当の意味や大切にすべき価値観の浸透には今一歩という状況でした。
組織運営において一番大事なのは、「何を目指すのか、何のためにやるのか」を明確にすることです。それがなければ私自身も経営はできないと感じました。
代表を受け継ぐことが決まった時点から、もともとあった理念をアップデートするプロジェクトを開始し、現在の経営理念「Step by Step 一歩一歩未来に向かって限りなく成長し続けること」を柱として据えました。
加えて、この理念をみなで実践できるように5つの行動指針も定めました。指針に沿った良い行動をする社員がいれば積極的に見つけて褒めることから始め、少しずつチームワークの再構築に向けて歩みを進めました。
2030ビジョンと社員主導のイノベーションで未来戦略を形に。
経営理念と行動指針が完成した頃、経営会議で部長の一人が「ビジョンに向かって舵取りをすべきだ」という声を上げました。
その当時、当社には大きな方向性としての経営理念や会社の使命はあったものの、抽象度が高く具体的に何をすべきかがわかりにくい状況だったため、ビジョンを作ろうという意見はありがたい声でした。
また経営層には「自社のあるべき姿に向けて組織を導くのが私たちの仕事だ」との共通認識があったことも後押しして、すぐにジャパンメディックが目指す姿を具体化するための「2030ビジョン」の策定に取り掛かりました。
今では、生活者/事業/環境/地域/人・組織の5テーマについて当社のビジョンを明らかにし、それぞれに連動する形で社員が自主的に活動する委員会制度もスタートしています。
このビジョンを作ったことで、私たちのやりたいこと・やらなければならないことが整理され、組織の方向性がより明確になったと感じます。
さらに、やりたいことを実現する手段としての委員会制度が部署間のつながりを強くし、社員同士がアイデアを持ち寄り新たな挑戦をする風土づくりにも貢献していると感じます。
2030ビジョンの5テーマに連動した委員会では、グリーンエネルギー化の推進やスポーツごみ拾いイベントの開催、時差出勤制度の導入といったさまざまな成果が出ており、今後も社員主導でどのような挑戦が始まるのかを楽しみにしながら見守っています。
日々の業務で理念を体現し、ともに成長する仲間を求めて。
ジャパンメディックが仲間に迎え入れたいのは、当社と共に進化・成長していける人材です。
中途採用では技術・開発職や広報、Webマーケティング関連職を積極的に募集しており、多くのキャリア人材が活躍しています。今後は新工場の建設や社屋のリニューアルを予定しており、社員の力が一層必要です。
特に生産設備系の技術者や、生産現場のDX・自動化を推進できる人材を求めています。医薬品メーカーでの経験は問いませんが、理念やビジョンに共感いただける方と共に会社をつくりたいと考えます。
OTC医薬品を通じ社会に貢献したい方、多様化するお客さまの要望に技術力で応えたい方、委員会活動などの組織運営に主体的に関わりたい方には、当社は最適な環境です。
ジャパンメディックは「健康・夢 提案企業」として社会を明るく元気にすることを掲げていますが、私が重視するのは「社員が明るく元気に働けること」です。前向きに働ければ幸せを感じる瞬間が増え、その力が社会を明るくする源になると信じています。
理念の「Step by Step」は、会社も個人も成長し続けなければ未来は望めないという考えです。社員には主体的に動ける場を提供し、誇りとやりがいを持って働いてほしい。今後も社員と共に理想の会社づくりへ着実に進んでいきます。
テクノロジーと人の力で進化する。もっと社員が輝く組織へ。
今後は2030ビジョンの実現に向けて進みつつ、より大きな目標である「社員が働きがいを感じながら仕事をする組織」を目指してさまざまな挑戦をする予定です。
新たに建てる工場では社員食堂の完備を計画しており、健康経営の取り組みも含めた職場環境の整備に加え、生産設備の自動化にも積極的に投資し、労働生産性を上げて利益につなげる好循環を生み出したいですね。
これからの時代はテクノロジーが発達する一方で、人口減少による採用難もより深刻な課題となることが予想されます。その中でいかに社員や求職者の皆さんに選ばれる会社になっていくかが重要です。
当社では、委員会制度をはじめとして社員が輝けるステージが複数あり、社員の声から生まれた新しい取り組みがとても速いスピードで展開されています。
これは経営者である私が一人で取り組んでも絶対に実現し得ないことであり、着実に進化し続けるジャパンメディックならではの文化の根源です。
これからも人々の健康と豊かな人生をつくる企業として、製薬会社の枠にとらわれないチャレンジを続け、この富山の地から日本全国を明るく元気にすることに取り組んでいきたいと思います。